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『ラ・フォリア』

こんにちは。院長の波木です。

 

私が好きなクラシックの作曲家を順位づけすると、
バッハ、ラフマニノフ、ベートーヴェン、ブラームス、ショパン、
ラヴェル、ドビュッシー、プーランク、スカルラティ、ヴァイス。

 

クリニックでBGMとしてかけているのは、
バッハやヴィヴァルディやモーツァルト、
コレルリ、ロカテッリ、トレッリ、ヘンデル、ゼレンカなどの
バロック〜古典派の作曲家が主体となっています。

 

バッハの次に好きな作曲家は、セルゲイ・ラフマニノフ。
時代としては「近代」に分類されます。
しかし、作曲の手法や曲想としては、
ショパンなどの「ロマン派」に近く、
独特のロマンティックな旋律に、複雑な展開、
超絶技巧を要する難解な作曲手法が特徴です。

 

そんなラフマニノフの代表曲
「コレルリ(あるいはコレッリ)の主題による変奏曲 Op.42」

ウラジミール・アシュケナージによる演奏。
哀愁を帯びた美しい旋律。
まさにロマンチック・ラフマニノフの真骨頂!
奏者は、ラフマニノフと出身国が同じ。
完全に手の内に入れています。

 

ラフマニノフが作曲した中でも、大好きな曲ですが、
タイトルには以前から疑問がありました。
テーマに使ったフレーズ
(冒頭の レ・レ・ミ・ド レ・レ・ド・レ・ミ)は、
アルカンジェロ・コレッリのオリジナルではなく、
もっと以前の「舞曲」に由来するものだったからです。

 

その舞曲は「フォリア」と言います。

 

彼が、「フォリア」を知らなかったと言うことはないと思いますが
コレッリの考えた主題だったと勘違いしていたため、
間違ったタイトルをつけてしまったと考えられています。

 

ラフマニノフを魅了したフォリアのテーマ。

 

400年前に作られた曲が、
ラフマニノフだけでなく、それ以前にも、
多くの作曲家のインスピレーションを刺激し、
作品に昇華させています。

 

そんなたくさんの作品の中から
いくつか紹介していこうと思います。

 

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フォリア(folia)は、イベリア半島起源の舞曲。
15世紀末のポルトガルあるいはスペインが起源とされるが、
いずれかは定まっていない。
「サラバンド」と同じく3拍子の緩やかな音楽。
「フォリア」とは、「狂気」あるいは「常軌を逸した」という意味があり、
もともとは騒がしい踊りのための音楽であったことが窺われるが、
時代を経て優雅で憂いを帯びた曲調に変化した。

 

「フォリア」は、低音部の進行及び和声進行が定型化されるにつれて、
これをもとに変奏曲形式で演奏することが広まった。
基本的に、短調。
イ短調の場合、A-E-A-G-C-G-A-Eという調子。

 

17世紀にはイタリアで大流行し、多くの作曲家が採り上げている。
このような手法は、「シャコンヌ」「パッサカリア」などの変奏曲、
あるいは『パッヘルベルのカノン』とも共通するものである。

 

とくに、アルカンジェロ・コレッリの
『ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ』作品5の12曲中
最後に置かれた『ラ・フォリア』がよく知られる。

 

 

その後も各時代で扱われたほか、
「フォリア」とは明記されていないものでも、
「フォリア」の低音部進行を部分的に採用している曲も多い。
(from ウィキ)

 

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最初に取り上げるのは、「フォリア」の名前を広めた作品、
コレッリのヴァイオリン・ソナタ。

 

Arcangelo Corelli : ヴァイオリン・ソナタ 作品5第12番《ラ・フォリア》
(出版 : ローマ 1700年)

 

コレッリが、1700 年にローマで出版した
ヴァイオリン・ソナタ集(作品 5)
憂いを帯びた優美な低音主題にのせて、
緩急さまざまで多彩な変奏が行なわれる。
変奏数は23。

 

 

ヴァイオリンの名手だったコレッリ。
この曲には、ヴァイオリンの運弓(右手の動かし方)技法が
たくさん盛り込まれていて、
演奏する上でも、楽曲を聞く上でも
魅力にあふれた作品になっています。

 

バロックダンスの付いた動画で。

 

 

続いて同じ頃(1703年)にヴィヴァルディが作曲したトリオソナタ。
27歳の若きヴィヴァルディが、コレッリの作品を参考に作曲したと
考えられている。
変奏数は19。

 

アントニオ・ヴィヴァルディ : トリオソナタOp.1-12
《ラ・フォリア》ニ短調RV63

全体的に単調で、彼の後半生の作品に比べると
2本のヴァイオリンの絡みも少ない。

 

マラン・マレ(1656-1728)はフランスの作曲家。
ルイ14世の宮廷を舞台にヴィオラ・ダ・ガンバの名手として活躍し、
作曲家としても、オペラ、ヴィオルを中心とした
室内楽作品を多く残しています。
「スペインのフォリアによる変奏曲」は、
ヴィオル曲集第2巻に含まれています。

 

マラン・マレ:スペインのフォリアによる変奏曲

ヴィオラ・ダ・ガンバとテオルボという組み合わせ。
通奏低音を奏でるテオルボが上の音域、
旋律を奏でるガンバが下の音域なので、
全体にしっとりとしつつ重厚感のある演奏になっている。

 

少し時代を遡ってみます。

 

アンドレア・ファルコニエリ (1585-1656) :Ciaccona and Folia
カンツォーナ第1集(1650)に含まれるこの曲は、
前半部のシャコンヌから、フォリアへ。

コード進行は同じだが、ファルコニエリの作品では、
メロディーラインはコレッリやマレの作品に比べるとはっきりしない。
そのかわりに舞曲としてのテンポ感と激しさが備わっている。

 

アレッサンドロ・ピッチニーニ (1566-1638) は
イタリアのリュート奏者。
Alessandro Piccinini:Partite variate sopra la Folia aria romanesca

リュートの素朴な響きを生かしたシンプルな変奏曲。

 

アントニオ・デ・カベソン(Antonio de Cabezón, 1510-1566)
スペインの作曲家・オルガニスト
カベソン:Pavana Con Su Glosa

 

この曲の起源はフォリアや民謡で、
比較的厳格な形式になっている。

Folias Criollas(作曲者不詳、1500)

緩くフォリアの型は感じるが、かなり淡い。
パーカッションが入って、リズミカル。
フォリアが舞曲由来だということがわかる。

 

17世紀以降のコレッリやヴィヴァルディ、マレらの作品は、
後期フォリアと呼ばれ、テンポが遅くなり、
コード進行が一定の型になっている。

 

現在につながる「ラ・フォリア」の典型は、この頃に定着し、
その後の作曲家がこれをもとに作品を作っている。

 

 

大バッハは、農民カンタータの中に取り入れている。

 

J.S.Bach:「カンタータ(農民カンタータ)BWV.212」

ドイツ的な厳格さを備えた作り。
変奏はなく、あくまで歌伴として使っている。

 

フェルナンド・ソル(1778-1839)は、スペインの作曲家、ギター奏者。
ソルは、ギターの音楽レベルを可能な限り高め、
ギターを世に広める努力をした。
ギターのベートーヴェンと呼ばれる。

 

ソル:スペインのフォリアOp.15

 

C.P.Eバッハ (1714-1788)は、J.S.バッハの息子。
父の影響を最も受け、当時は父よりも有名であった。
特に鍵盤楽器作品が多く、200曲以上のソロ曲を残している。

 

C.P.E. Bach:
12 Variations on “La Folia d’Espagne” in D Minor, Wq.118, No.9(1778年)

フォリアの主題の使い方、変奏の独創性、
緩急の付け方などを取っても傑作と言って良い。

 

 

フランツ・リスト(1811-1886) は、言わずと知れたピアノの魔術師。
『ハンガリー狂詩曲集』に代表されるように、
リストは民謡などの土着音楽を収集し、それらをもとに作曲を行っていた。
『スペイン狂詩曲』もこの種の作品と考えて間違いない。

 

Franz Liszt:
Rhapsodie espagnole, S. 254 “Folies d’Espagne et jota aragonesa”
スペイン狂詩曲(スペインのフォリアとホタ・アラゴネーサ 1858年)

前半は、フォリアの低音部と和声進行をもとに変奏。
後半部分、速いテンポの「ホタ(スペインの民謡や舞踊のジャンル)」で
劇的な盛り上がりを作り、
前半のフォリアが長調で華やかに再現されて楽曲を閉じる。

 

 

現代の曲の中にもテーマが使われている作品や、
コード進行を取り入れている作品も多数存在する。
それだけ、人々の耳に残り、心に沁みる音楽だということなのでしょう。

 

「フォリア」のテーマを憶えて、曲の中でその主題の変奏される様を
比較して聴いてみるのも面白いかもしれません。

 

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「フォリア」のテーマを使った曲を書いた作曲家

 

ガスパー・サンス、ストラーチェ、A.スカルラティ、
フレスコバルディ、マラン・マレ、リュリ、
J.S.バッハ、ジェミニアーニ、C.P.E.バッハ、
サリエリ、ソル、リスト、ブゾーニ、
ラフマニノフ、ロドリーゴ

 

★ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」第2楽章にも
フォリアの和声進行が取り入れられている。

この動画の中では、5分41秒あたりから6分までの
バスのコード進行がそれにあたります。

 

 

 

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〒275-0011
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キウイフルーツ

こんにちは。院長の波木です。

 

私が住む鎌ヶ谷市や周辺の船橋市、白井市、松戸市、市川市では、
梨園やぶどう園が昔からたくさんあります。

 

そのほかにも、とうもろこしや栗、さつまいも、
落花生、いちご、ブルーベリーなどが栽培され、
近隣のスーパーには地元産の野菜や果物が並んでいます。

 

梨の時期になると、街道沿いにはのぼりが立てられ、
即売所があちこちにできます。

 

そんなある日、白井市でキウイフルーツののぼりを見つけました。
40年も住んでいる地元でありながら、
キウイが作られているなんて思いもしませんでしたし、
そもそもキウイに旬がある事も知りませんでした。

 

 

その時に購入したのは、「ヘイワード」という品種。
「ヘイワード」は、グリーンキウイの代表的な品種であり、
世界中で広く栽培されています。

 

特徴としては、果皮にうぶ毛が密集しており、
果肉は鮮やかな緑色でジューシーな食感を持っています。
甘味と酸味のバランスが絶妙で、香りも爽やか。

 

果実は比較的大きく、100~130グラムほどのサイズで、
食べ応えがあります。

 

 

緑が濃く、味も輸入物のキウイに比べると深いのが特徴的。
凝縮感が強く、酸味は少なく、果汁が溢れる。
今まで食べてきたキウイの概念が変わるくらいの衝撃を感じました。

 

〜キウイフルーツについて〜

 

マタタビ科マタタビ属の温帯の果実で、秋に実る。
中国に分布するオオマタタビから
ニュージーランドで改良されて作出された栽培品種。
果実は産毛のような細かい毛が生えている。

 

栄養的には、ビタミンCを多く含む
グリーンキウイの可食部100gあたりのビタミンC含有量は約71mg、
食物繊維は2.6gが含まれる。
そのほか、カリウム、マグネシウム、葉酸を含む上、
カロリーが少ない点でも優秀な果物と言える。

 

キウイフルーツという名称は、
ニュージーランドからアメリカへ輸出されるようになった際、
ニュージーランドの国鳥である鳥の「キーウィ(kiwi)」に因んで
1959年に命名された。
(果実と鳥の見た目の類似性から命名された訳ではない)

 

日本では、ニュージーランド産、チリ産、アメリカ産のキウイが
通年輸入されている。
国内での栽培は、温州みかんなどの柑橘類の転作作物として始められた。
愛媛県、福岡県、和歌山県、香川県などで栽培され、
10月から4月に出回る。

 

注)キウイフルーツは、アレルギー発症頻度が高く、
食物アレルギー実態調査では、果物の中で1位を占めています。
アレルギーの主抗原は主にアクチニジンというタンパク質で、
グリーンキウイに多く、ゴールドキウイには少ないという傾向があります。 

 

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今年秋、キウイとの再会が訪れます。
近くの梨農園で、キウイが販売されているという情報を得て、
買いに行ってみました。

 

船橋のアンデルセン公園付近の農園と、三咲駅付近の農園では、
「紅妃」「レインボーレッド」という品種のキウイが
販売されていました。

 

「紅妃」は身の中心部が赤くなっている珍しい品種で、
この色味が大きな特徴となっています。
糖度が高く、甘くて美味しい一方、
緑や黄色のキウイと比べ病気に非常に弱く栽培が大変難しいため、
栽培している農家も少ないそうです。

 

「レインボーレッド」は表面に毛がなく、酸味が少なく、
その甘さが最大の魅力です。
果肉が黄緑色で真ん中は鮮やかな赤色。

 

(上が紅妃、下がレインボーレッド)

 

あまりの甘さにびっくりして、たくさん買って、
あちこちに配ったほど。
このふたつの品種は、その希少性から
「幻のキウイ」と呼ばれているそう。

 

船橋市でキウイは市内17軒の農家で栽培されていて、
栽培面積の3haは県内1位。
キウイを栽培する多くは梨の農家で、
梨を栽培するときに使用する
「梨棚」を生かして栽培することができるため、
梨栽培が盛んな船橋市では、
キウイ栽培を始めやすい環境にあります。

 

キウイは、自然のままでは完全に熟していない状態で収穫されるため、
農園では、追熟をしたものと、未追熟の物を販売しています。

 

エチレンという成熟ホルモンが作用することで追熟し、
食べることができるようになります。
リンゴ(ジョナゴールド、津軽、王林)からエチレンガスが発生するので、
自宅で追熟させる場合は、レジ袋にリンゴとキウイを一緒に入れて閉じ、
常温で1週間程度置いておけば追熟できます。

 

追熟の効果で、デンプンが糖分に変わり、甘さが引き立ちます。
果肉が柔らかくなり、食べやすくなり、
酸味が和らぎ、豊かな風味が楽しめます。

 

11月に入ると、「アップルキウイ」「香緑」という品種が出てきます。

 

(左が香緑、右がアップルキウイ)

 

一般的なキウイ(ヘイワードなど)は縦長ですが、
「アップルキウイ」は、リンゴのような丸い形をしています。
見た目には皮の産毛が少なく、つるんとしています。
果肉は、緑色から完熟すると黄色に近くなっていきます。
果汁が豊富で、酸味が少なく、糖度は平均12度

 

「香緑」は、香川県で「ヘイワード」の偶発実生から、
特に糖度の高いものを選抜し、育成した品種です。
美しい濃緑色の果肉を持つキウイは、
「香緑(こうりょく)」と命名され、品種登録されました。
俵型の外観とエメラルドグリーンの果肉と、
濃い味、ジューシーな食味が特徴。

 

(キウイ栽培販売をしている農園)

 

 

紹介した品種のほか、「甘うぃキウイ」「幸夜香」「さぬきゴールド」
「ミコスイート」「紅心」などがあります。

 

同時に購入して食べ比べてみるのも面白いでしょう。

 

近隣のデパートやスーパーで、ごく稀に販売していますが、
直売所に行って購入する方が確実です。

 

ただし、午前中に売り切れてしまうことが多いので、
平日の朝に買いに行かれることをお勧めします。

 

 

 

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ヴィヴァルディ〜バッハ

こんにちは。院長の波木です。

 

今回は、前回紹介したヴィヴァルディと、
音楽の父バッハの関係について書きました。

 

二人は、同時代に生まれたバロック時代の二大作曲家ですが、
ヴィヴァルディが 7 つ年上で、
その活動の場や作曲スタイルは、大きく違っていました。

 

前回書いたように、ヴィヴァルディはヴェネツィアを中心に活動し、
ヴァイオリンを主に使った明朗で快活な作品を作曲。
オペラ作曲家としても活躍しました。
ヨーロッパ中を旅行し、イタリアだけでなく、
名声と代表曲はヨーロッパに知れ渡っていました。

 

一方のバッハは、生涯ドイツから出ることはなく、
地方の教会音楽家として
オルガンを中心とした教会音楽(ミサ曲、カンタータ)を多数作曲。
対位法を主にした、厳格で重厚な音楽を作っていました。

 

 

バッハの生まれ故郷は、ドイツ中部のアイゼナハ。

 

そこから、リューネブルク→アルンシュタット→ヴァイマル→
ケーテン→ライプツィヒと移り住み、
ライプツィヒで亡くなっています。

 

 

バッハは、同時代のドイツ国内の作曲家ヘンデルや、
ブクステフーデ、ラインケンらの曲を聞く機会はあり、
影響を受けたり、作曲に反映させたりしています。

 

1708年バッハが23歳の時、
ヴァイマルの宮廷で ヴィルヘルム・エルンスト公の
宮廷オルガニストとなりました。

 

エルンスト公の甥ヨハン・エルンスト公子(1696-1715)は、
少年時代から非凡な楽才を発揮し、
1713年7月、 留学していたオランダから帰国しました。

 

アムステルダムで、公子はイタリアやフランスの音楽に触れ、
たくさんの楽譜を持ち帰りました。

 

公子は、それらをバッハに渡し、
オルガン用に編曲することを提案します。

 

これを機にバッハは、イタリアで流行している作風や形式を学び、
それ以降の作曲スタイルに多大な影響を受けたことは、
作品が物語っています。

 

作品数にして22曲。
そのうち10曲がヴィヴァルディの作品だったことから、
バッハがヴィヴァルディの協奏曲形式に心酔していた事がうかがえます。

 

 

編曲一覧

 

オルガン独奏曲
BWV592 協奏曲第1番 ト長調
原曲=J.エルンスト公 (クラヴィーア版 592a)
BWV593 協奏曲第2番 イ短調 原曲=ヴィヴァルディRV522 Op.3-8
BWV594 協奏曲第3番 ハ長調 原曲=ヴィヴァルディRV208 Op.7-11
BWV595 協奏曲第4番 ハ長調 原曲=J.エルンスト公
BWV596 協奏曲第5番 ニ短調 原曲=ヴィヴァルディRV565 Op.3-11
BWV597 協奏曲第6番 変ホ長調 原曲不明

 

クラヴィーア独奏曲
BWV972 協奏曲第1番 ニ長調 原曲=ヴィヴァルディRV230 Op.3-9
BWV973 協奏曲第2番 ト長調 原曲=ヴィヴァルディRV299 Op.7-8
BWV974 協奏曲第3番 ニ短調 原曲=マルチェッロ オーボエ協奏曲
BWV975 協奏曲第4番 ト短調 原曲=ヴィヴァルディRV316 Op.4-6
BWV976 協奏曲第5番 ハ長調 原曲=ヴィヴァルディRV265 Op.3-12
BWV977 協奏曲第6番 ハ長調 原曲=マルチェッロ?
BWV978 協奏曲第7番 ヘ長調 原曲=ヴィヴァルディRV31 Op.3-3
BWV979 協奏曲第8番 ロ短調 原曲=トレッリ
BWV980 協奏曲第9番 ト長調 原曲=ヴィヴァルディRV383a Op.4-1
BWV981 協奏曲第10番 ハ短調 原曲=マルチェッロ
BWV982 協奏曲第11番 変ロ長調 原曲=J.エルンスト公
BWV983 協奏曲第12番 ト短調 原曲不明
BWV984 協奏曲第13番 ハ長調 原曲=J.エルンスト公
BWV985 協奏曲第14番 ト短調 原曲=テレマン ヴァイオリン協奏曲
BWV986 協奏曲第15番 ト長調 原曲不明(テレマン?)
BWV987 協奏曲第16番 ニ短調 原曲=J.エルンスト公

 

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では、作品を紹介しましょう。

 

まずは前回も取り上げた
Vivaldi : ヴァイオリン協奏曲ニ長調
Violin Concerto in D major RV 230 Op.3-9

 

これを編曲した

 

Bach : Concerto BWV 972 in D major
アレグロ-ラルゲット-アレグロ

 

チェンバロ(by Richard Egarr)による演奏。

 

 

イタリアの乾いた空気と明るい曲調が、
チェンバロの音色とマッチして良い。

 

パイプオルガン(by 長田真実)による演奏。

 

 

バッハが超絶技巧のオルガニストであったことは有名で、
バッハオリジナルの多層的で重厚なオルガン曲には見られない
軽妙さが新しい。

 

シプリアン・カツァリスによるピアノ演奏で、第2楽章ラルゲット。

 

 

 

私が、バッハの編曲に着目するきっかけになったのが、
カツァリスのこのアルバム。
ドイツ国内で生涯を過ごしたバッハが、
音楽を通してイタリア旅行をしたというコンセプト。
チェンバロの演奏には見られない、奥行きのあるロマンティックな演奏。

 

Bach : Concerto BWV978 in F major (Vivaldi : RV 310 G major)
アレグロ-ラルゴ-アレグロ

 

Benjamin Alardによるチェンバロ演奏。

 

 

楽章のキャッチーな入りは、
バッハの後の作品に反映されているに違いない。
急・緩・急の3楽章(「リトルネッロ形式」)。
ラルゴを挟んでアレグロへ。
3楽章は、ヴィヴァルディが得意としているテーマを
繰り返していく形式に倣っている。

 

Bach : Concerto in A minor BWV593(Vivaldi : RV522 A minor)
アレグロ-アダージョ-アレグロ

 

 

原曲の溌剌とした感じがオルガンだと、ややもっさりして聞こえるが、
ヴァイオリンの立体感は、良くオルガンに移されている。
2楽章は、雲間から光がやっと一筋差しているような静寂。
3楽章は、複雑な構成。
低音から高音までフルに使ったオルガンの特性を把握している
バッハならではの編曲。

 

 

Bach : Concerto in D minor BWV596 (Vivaldi RV565 D minor)
アレグロ-アダージョ-フーガ-ラルゴ エ スピッカート-アレグロ

 

まずは原曲から。

 

 

ヴィヴァルディの曲としては、5つのパートからなる構成が異色。
低音を多用していて、全体的に重い曲調 。
3楽章でも、ヴァイオリンが主体ではあるが、曲想は物悲しい印象。

 

 

Van Doeselaarによるパイプオルガン演奏。

 

出だしからパイプオルガンの荘厳な感じが良く合う。
そして、1楽章の最後がいかにもオルガンのために作ったよう、
2楽章は、バッハ作品よりもバッハ的!!

 

この楽章は抜粋されてピアノ用に編曲されたりしている。
敬愛するピアニスト アンヌ・ケフェレックもよく演奏している。

 

 

楽章は、これを編曲だとは誰も思わないだろう・・・・という出来栄え。

 

Bach : Concerto in C major BWV594 (Vivaldi RV208a D major )
アレグロ-レチタティーヴォ-アレグロ

 

 

Balint Karosiによるパイプオルガン演奏。

 

ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 RV 208を編曲したもの。
オペラの序曲のような出だし。
トランペットを思わせる明るい響きが印象的。

 

Bach : Concerto in C Major BWV 976(Vivaldi RV265 Op.3-12 E major )
Tempo giusto-Largo-Allegro

 

 

Robert Hillによるチェンバロ演奏。

 

1楽章の明快で快活な感じはバッハのオリジナルには無い曲調。
3楽章では、メロディーと左手の伴奏が複雑に絡み合う。
バッハの編曲者としての技量が最大限に発揮されている。

 

 

珍しいクラヴィコードによる演奏。
決して綺麗な音ではないけれど、素朴で味わいのある演奏。
バッハは、普段遣いの楽器としてクラヴィコードを愛用していた。

 

最後にバッハオリジナルの イタリア協奏曲BWV 971 。
Bach:Italian Concerto BWV 971

 

 

 

Marco Mencoboniによるチェンバロ演奏。

 

734年ライプツィヒ時代に作られたこの作品は、
リトルネッロ形式による活発な2つの楽章の間に、
豊かな旋律声部とそれを支える単純な伴奏声部から成る
緩徐楽章が置かれています。
チェンバロ独奏用に作られたにもかかわらず、
「協奏曲」と付けられているのは、
ヴィヴァルディの協奏曲形式に倣って作曲されたからでしょう。

 

 

敬愛するピアニスト アンドラーシュ・シフの演奏で。
軽すぎず、重たくならず、絶妙な匙加減で音の奥行きを差配する。
曲の難易度としてはさほど高くないこの曲を、
高い完成度で表現するシフ。

 

バッハが音楽を通じて出会った異国の地。
言葉でも、絵でもなく、楽譜から感じ取ったイタリアやフランスが
ドイツの片田舎に住むバッハにとってどれほど刺激的だったか。。。
彼の編曲が、ただ習うのではなく、
彼なりの解釈と工夫をしてアウトプットしたからこそ、
オリジナルと間違われるほどのレベルの高さを保てたのでしょう。

 

 

 

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アントニオ・ヴィヴァルディ

こんにちは。院長の波木です。

 

ヴィヴァルディの名前と、
彼の作品《四季》を知らない方はいないでしょう。

 

その中で、「春」は最も知られた曲
(「春」は3楽章からなり、第1楽章の冒頭が有名)。

 

《四季》は、
12曲のヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』作品8のうち、
第1から第4曲の、「春」RV269、「夏」RV315、
「秋」RV293、「冬」RV297の総称です。
(作品番号は、RV番号(リオム番号))

 

 

アントニオ・ヴィヴァルディ
(Antonio Lucio Vivaldi, 1678年3月4日 – 1741年7月28日)

 

現在はイタリアに属するヴェネツィア出身の
バロック音楽後期において著名な作曲家の一人、
ヴァイオリニスト、ピエタ慈善院の音楽教師、カトリック教会の司祭。
多数の協奏曲の他、室内楽、オペラ、宗教音楽等を作曲。

 

作品は未完、紛失、偽作、共作(オペラに多い)
の作品を含めると800曲以上にも及ぶ。
未発見の作品もまだあると見られており、ヴィヴァルディの総作品数が
どれくらいの数に及ぶのかは不明である。

 

ヴィヴァルディは特に急・緩・急の3楽章を持ち、
主に第1楽章において全奏による繰り返しと
独奏楽器による技巧的なエピソードが交替する
「リトルネッロ形式」をもつ独奏協奏曲の形式を
確立した人物として知られる。

 

ただし実際にはヴィヴァルディが独奏協奏曲の考案者というわけではなく、
トレッリらはヴィヴァルディ以前に独奏協奏曲を書いているが、
ヴィヴァルディの作品は国際的に有名になり、
多くのドイツの作曲家がヴィヴァルディの形式で
協奏曲を書くようになった。

 

協奏曲の独奏のために用いられた楽器の種類と
組み合わせの多彩さでも知られ、
大量のヴァイオリンのための協奏曲だけでなく、
チェロ、リュート、テオルボ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、
ヴィオラ・ダモーレ、マンドリン、オーボエ、フルート、
ピッコロ、シャリュモー(クラリネットの前身)、
バソン/ファゴット、トランペット、トロンボーン、ホルン、オルガン等、
同時期の作曲家としては格段に多様である。

 

ヴィヴァルディが教師を務めたピエタ慈善院は、
キリスト教会が行う慈善事業の一環として、
孤児や棄児の養育を目的に建てられた。
音楽の才能を見出された少女は選抜され、
付属の合唱団や交響楽団に入るための訓練を受けた。

 

才能のある女子に対して、ピエタの運営委員会が、
珍しい楽器を演奏させて、
演奏会の希少性を高める事をヴィヴァルディに求めた。
その要求に応えて、オーボエやバソンといった管楽器、
チェロ、オルガンといった伴奏用の楽器にも独奏楽器の地位を与え
ピエタの娘たちに演奏させた。

 

運営委員会はヴィヴァルディに、
月に2曲の協奏曲を書くことを義務づけていて、
結果として500以上の協奏曲を残した。

 

この時期、基本的に音楽院の音楽教師という立場にいながら、
作曲家としてのヴィヴァルディの名声はヨーロッパ中に広がり始めていた。

 

これは、生命力のほとばしりを感じさせる瑞々しい曲想のみならず、
合奏協奏曲から更に進んだ独奏協奏曲のスタイルを
確立していったためと考えられる。

 

実際18世紀において《四季》の人気は高く、
特に「春」は引用や編曲の対象になっていた。

 

 

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まずは「春」から紹介しましょう。

「和声と創意の試み」 協奏曲第1番ホ長調「春」
Concerto No.1 “Spring” in E MajorOp.8-1 RV269
アレグロ-ラルゴ-アレグロ

 

 

最近の動画。
バロックバイオリンを中心とした古楽器の編成。
軽やかで、溌剌としていて、自由度が高くて非常に良いですね。
ヴァヴァルディが作曲した当時も、ピエタ慈善院では
このような形式で演奏されていたのでは無いでしょうか?

 

https://youtu.be/TKthRw4KjEg?si=R0BQCyhSr8OkGCai

 

巨匠 イツァーク・パールマン(Itzhak Perlman)による弾き振り。
編成が大きくなると、派手に聞こえるものの、
どうしても曲調が重たくなる。
我々が子供の頃に音楽の授業で聞いたのは、こんな演奏だったのかも?
春らしい、花びらがヒラヒラと風に舞って行くような爛漫な感じを
表しているとは言えない。

 

私が《四季》の中で、特に惹かれるのは「冬」の3つの楽章。

 

「和声と創意の試み」 協奏曲第4番ヘ短調「冬」
Concerto No.4 “Winter”in F minor Op.8-4 RV297
アレグロノンモルト-ラルゴ-アレグロ

 

Giuliano Carmignola (Baroque Violin)
Venice Baroque Orchestra
Andrea Marcon (conductor)

 

 

凍てつくような空気、雪、吹雪、氷が表現されている1楽章。
暖かな屋内で穏やかに過ごす様子を描く2楽章。
冷たい風が吹いて、氷が張った川を歩く様を表現した3楽章。

 

凝縮された魅力を持った展開を、
作為的に感じさせないところが素晴らしい!

 

バロックを代表する大家であったバッハがそうであったように、
ヴィヴァルディもまた18世紀末から19世紀にかけて
忘れ去られた存在になっていました。
19世紀半ばになってようやく再評価されたわけですが、
この《四季》が見つかったのはそれ以降のこと。

 

《四季》からもう一曲。

 

「和声と創意の試み」協奏曲第2番ト短調 「夏」
第3楽章プレスト(夏の嵐)
Concerto No.3 “Summer” in E Major Op.8-3 RV315-Presto

 

 

夏の暑さの中、かっこうが遠くで囀る。
そのうち、雷鳴が聞こえ、やがて雹が降り始める。
「夏の嵐」を表現したこの楽章は、独創性に優れ、
ヴィヴァルディの全作品の中でも特筆すべき曲。

 

ヴィヴァルディの「四季ブーム」が巻き起こったのは、
1959年録音の『イ・ムジチ』によるCDがヒットしたことによる。
この録音は、今なお名盤として君臨する、まさにバイブル的演奏。

 

 

 

マンドリン協奏曲ハ長調 第1楽章アレグロ
Concerto for Mandolin in C Major, RV425-Allegro

 

 

映画「クレイマー・クレイマー」の挿入曲として有名になりました。
日本でもCMや、某番組のBGMでよく使われています。
マンドリンで演奏するために作られた曲ですが、
ヴァイオリンや他の楽器で演奏されることも多い。

 

 

 

1996年に上映されたオーストラリアの映画「シャイン」では、
「グロリア」と「モテット《まことのやすらぎはこの世にはなく》」
が使われた。

 

 

グロリア ニ長調 いと高きところには神に栄光あれ より
Gloria in D Major, RV589 I. Gloria in excelsis Deo

 

 

出だしから力強い合唱、美しい独唱アリア、
ドラマティックな響きが多幸感を生み出す。

 

「シャイン」は、統合失調症を患う実在のピアニストを描いた作品。
全体を通して抑圧された暗いテーマで物語は進みます。
主人公がラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾くことによって
さらに病気を悪化させてしまう。

 

そんな状態から、あるきっかけで再び世に出ることが出来た際の
悦びに溢れた様を、「グロリア」が表し、さらにエンディングで、
次に紹介するモテットが用いられている。

 

この曲は1920年代に再発見されるまで、楽譜は埃をかぶっていたそう。

 

 

モテット《まことのやすらぎはこの世にはなく》
Nulla in mundo pax sincera RV630

 

 

ヴィヴァルディの作品は、基本的に明るい7割、暗い3割で
作られているのですが、ここまでの明るさは他に例が無く、
まさに天上の音楽といっても良いくらいのパラダイス感!

 

 

「調和の霊感」2つのヴァイオリンのための協奏曲イ短調 作品3第8番
Concerto for 2Violins in A minor, RV522, Op.3 No.8
アレグロモルト-アンダンテ-アレグロ

 

合奏協奏曲集「調和の霊感」の中の1曲。
2本のヴァイオリンと伴奏の対話が、立体的で大変美しい作品。
特に第2楽章、ファーストヴァイオリンとセカンドのハモリが鳥肌もの!
そして圧巻の第3楽章へ。

 

https://youtu.be/m1k_yexUE6s?si=kzebdf9YIko0Yfhd

 

 

「調和の霊感」4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲ロ短調
作品3第10番
Concerto for 4Violins in B minor, RV580, Op.3 No.10
アレグロ-ラルゴ-アレグロ

 

ロ短調の美しい旋律が、淀みなく、ほぼ休みなく3楽章まで続く。
チェンバロの曲でも紹介した
バッハの4台のチェンバロのための協奏曲の原曲。
ヴィヴァルディは、ハーモニーだけでなく、
演奏する見栄えも考えてパート分けをし、
作曲したのではないのでしょうか?

 

 

こちらの動画だと、4つのバイオリンのバランスが良くわかる。

 

 

 

ソロ・ヴァイオリンとエコーヴァイオリンのための協奏曲イ長調
Concerto for violin, “violino per eco lontano” in A Major RV552
アレグロ-ラルゲット-アレグロ

 

 

この曲のコンセプトは非常に面白く、
斬新なアイデアに驚くしかありません!

 

曲は、ソロパートの旋律が美しく、
それがエコーヴァイオリンで繰り返されます。
タイトルを「遠くのこだま(per eco lontano)」と表されるのは、
ソロヴァイオリンをステージ上に置き、
エコーヴァイオリンを2階やステージの後方に置くという、
その配置に起因します。
ソロヴァイオリンが弾いたフレーズが、
まるでこだま(エコー)のように遠くから響く・・・。

 

この動画では、拍手の中を最後に現れる3人のヴァイオリニストが、
おそらく2階か客席の外で、誰もいない中、演奏していたのでしょう。

 

私は、以前実演を聴いています。
目の前のステージで誰も弾いていないのに、後ろから音が聴こえる不思議。
おそらく、今後見ることは無いでしょう。

 

リュートとヴァイオリンと通奏低音のためのソナタハ長調
Sonata for lute, violin and continuo, RV82
アレグロノンモルト-ラルゲット-アレグロ

 

 

ピチカートで、明るく可愛らしく始まる1楽章。
この曲の白眉は、2楽章のリュートとチェロの掛け合い♪
軽妙で楽しい3楽章。

 

同じ曲を、独奏楽器がマンドリンのヴァージョンで。

 

 

3人で演奏しているとは思えない深みのある演奏。
3楽章のヴァイオリンとマンドリンのユニゾンが素晴らしい。

 

 

ソプラニーノ・リコーダー協奏曲ハ長調
Concerto for sopranino recorder in C Major, RV443
アレグロ-ラルゴ-アレグロモルト

 

 

ヴィヴァルディは、リコーダーのための協奏曲をいくつも作曲しています。
この曲は、リコーダーの中でも最も高い音を出す
ソプラニーノ・リコーダーを念頭に作曲されています。

 

軽やかで、まるで羽が生えて飛んでいきそうな曲調。
うちのクリニックでも午前中によくかけています。
現代では、ピッコロで演奏されることが多い。

 

この動画は、撮影場所が面白くて、どこかの遺跡でしょうか?
その割に、音が良く、それぞれの楽器の音がバランスよく聴こえます。
そして、超絶技巧を要する演奏を動画で見られるのも素敵。

 

 

「調和の霊感」ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品3第9番
Violin Concerto in D Major, RV 230, Op.3 No.9
アレグロ-ラルゲット-アレグロ

 

 

インパクトのある出だしから、ヴァイオリンソロが際立つ2楽章。
3楽章は、ヴァイオリンの美しいハモリから始まり、
ソロ(トゥッティ)とユニゾンを繰り返して終わる。

 

 

ヴィヴァルディが作曲した膨大な数の作品から、
ほんの一部を紹介しました。
突出した傑作と呼べる曲は、十数曲かもしれませんが、
駄作が無いのもヴィヴァルディの凄さです。

 

特に「和声と創意の試み」「調和の霊感」は、どれも名曲。
機会があれば、是非聞いてみてください。

 

 

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過去に観た演目。

 

1995年9月23日@サントリーホール
ミカラ・ペトリ(リコーダー)、スロヴァキア室内合奏団

 

ソプラニーノ・リコーダー協奏曲ハ長調 RV443

 

 

2010年7月11日@かつしかシンフォニーヒルズアイリスホール
アンサンブルかつしか

 

ソロ・ヴァイオリンとエコーヴァイオリンのための協奏曲イ長調 RV552

 

 

2014年5月3日@よみうりホール
リチェルカール・コンソート

 

トリオ・ソナタ ホ短調Op.1-2 RV67
ヴァイオリンとヴィオラ・アッリングレーゼのためのソナタ
ソナタ集 「忠実な羊飼い」よりト短調 Op.13-6 RV58
チェロ・ソナタ イ短調 Op.14-3 RV43
トリオ・ソナタ ニ短調 Op.1-12 RV63「ラ・フォリア」

 

 

2018年3月15日@東京文化会館小ホール
古典音楽協会

 

「調和の霊感」合奏協奏曲 ニ短調 Op.3-11 RV565
リコーダー協奏曲「ごしきひわ」ニ長調 Op.10-3 RV428
「調和の霊感」4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ロ短調
Op.3-10 RV580

 

 

 

カノンデンタルクリニック
〒275-0011
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初北海道

こんにちは。院長の波木です。
毎年お盆休みは、ライブに行ったり、
友達と会ったりするくらいで、
遠出をしたり、旅行に行く事はありませんでした。

 

昨年末に思い立って金沢を訪れたのをきっかけに、
旅行熱が目覚め、
今まで行ったことがない北海道を巡ることを決めました。

 

まずは、成田から新千歳に向かう便を探し、
札幌2泊のうち、市内観光の1日目と、
レンタカーを借りての2日目、
苫小牧から洞爺湖泊の3日目、
函館泊の4日目、最終日に函館から羽田へ、
こんな計画をたててみました。

 

<1日目>
早朝に自宅を出て、成田空港に 6 時半、
成田→新千歳空港に 9 時過ぎに到着。

 

札幌のホテルに荷物を預けて、先ずはランチ。
スープカレーのお店(SAMURAI)を見つけて、
山わさび香る野菜たっぷり豚しゃぶカレーを。

 

市内の地理がわからないので、右往左往しながら、
何とか市電に乗って藻岩山ロープウェイ乗り場に到着。
更にケーブルカーで山頂展望台へ。
標高531mの高さから市内が一望出来るはずが、
時折小雨が降る生憎の天気。
ただ下界の暑さをよそに寒いくらいで、
一気に汗も引きました。

 

そこから市内の中心部に入り、
大通り公園から札幌テレビ塔へ。
テレビ塔の展望台からは、
よく見る一直線の大通りの景色が。
近くにあった「KANON」という喫茶店に立ち寄り、
晩御飯は割烹でキンキのしゃぶしゃぶ。
上品な白身を湯に通してポン酢で頂きます。美味でした。

 

その後「fermata」というワインバーを見つけ、
北海道産ワインを何種か飲んで初日は終了。

 

<2日目>
7時半にレンタカーを借りて、北へ向かう。

 

100㌔程走って最初の目的地北竜町「ひまわりの里」へ。
目の前に飛び込んで来た
一面に広がるひまわりの黄色が圧巻‼️

 

 

遊覧車ひまわり号に乗って畑の中を周遊。
黄色いエネルギーを沢山吸収しました。

 

そこから旭川へ出て、今度は南東に下がり美瑛へ。
街道沿いの「ぜるぶの丘」に立ち寄り、
この日のハイライト「四季彩の丘」
丘の上から眼下に広がるのは、
赤や黄色、紫、橙、白の花の絨毯❗️
斜面に美しく並んだ花畑は、色の配列も見事。
沢山の観光客が訪れるのもわかります。

 

 

そこから富良野に。
「ファーム富田」では、
ラベンダーの時期は終わっていましたが、
鶏頭などの花が綺麗でした。
隣のメロンハウスで夕張メロンを食べて、札幌に戻ります。
310㌔のロングドライブ無事終了

 

 

<3日目>
早朝に札幌を出発し、苫小牧でレンタカーを借りる。

 

次の目的地は登別温泉
1時間ほど走って、「第一滝本館」で日帰り温泉を堪能。
10以上の風呂があり、
しかも地獄谷を目前に見られる立地が素敵。
地獄谷遊歩道を歩き、『三途の川』から展望台へ。

 

 

山越えのルートをひたすら走って宿泊地の洞爺湖へ。
湖畔のお店でランチした後、「昭和新山」に。
隆起した岩丸出しのゴツゴツとした山肌は迫力満点

 

 

洞爺湖は、広くて穏やか。
対岸に見える山や湖面に雲間から陽が差して神々しい。

 

湖畔から競走馬を育成する牧場を見たり、
浮御堂公園を散策して、
宿泊するホテルへ。

 

山頂にポツンとあるホテルからは、洞爺湖が一望でき、
さながら天空の城という雰囲気。

 

 

スコールが降って湖上に虹がかかり、更に神秘的に。

 

<4日目>
早朝に露天風呂に入ったあと、
雲海から陽が昇って素晴らしい景色が見られました。

 

レンタカーを返すために苫小牧へ。
車での総走行距離は550㌔、よく走りました。

 

特急北斗に乗って苫小牧から函館へ向かう。
特急に乗って3時間もかかるなんて、
北海道は本当に広い!

 

函館に着いて朝市に向かい、
蟹と海老丼と鮭のハラス焼きを食す。

 

台風が東北地方に接近している為、
風が強い中を五稜郭タワーへ。
この日は、
お盆休みの日曜日とあって展望台に登る人で長蛇の列。

 

諦めて、隣接する函館美術館でやっていた「肉筆浮世絵の世界」展で、
北斎や広重の作品をゆっくり鑑賞。

 

そこから市電で函館山ロープウェイ山麓駅へ。
ロープウェイに乗り17時30分には頂上に。

ようやく日が傾き始めたくらいなのに、
函館市街地が見える展望台の北側は、既に人だかり。
1時間後に空が暗くなり始め、街に灯りが点き出す。
そしてようやくの夜景。
百万弗の夜景」の名の通り、絢爛としつつ、
凹凸のある地形の妙も相まって素晴らしい景観。

 

 

 

中心街に戻って、海鮮居酒屋で、
たらば蟹とザンギ、蒸しつぶ貝を食す。

 

<5日目>
台風が近づいて雨が降ったり止んだりの荒天。
風が強くて傘も役に立たないほど。

 

行く予定だった場所が幾つかあったのですが、
諦めて函館駅で時間を潰す。
途中、雨の合間を縫って、
朝市で雲丹丼を食べる。
鉄道も遅延していて
構内は人で溢れて身動きが取れないので、
早めに函館空港へ。

 

お土産を買っても時間が余ったので、
ホッケのフライやザンギをアテに道産のビールを。

 

わずかに出発が遅れたけれど、
何とか離陸できて、羽田に無事到着。
東京は暑い(苦笑)

 

総移動距離900㌔、
4泊5日の北海道ツアーを無事に完遂できました。

 

初めての北海道探訪に向けて、衣類、地理、
交通手段などわからないことだらけだったけれど、
天気が思ったより良くなかったこと、
ジンギスカンとラーメンを食べられなかったこと、
函館の最終日にどこにも行けなかったこと以外は、
決めた時間に予定通り到着出来て、
満足感の高い旅行になりました。

 

今回は広い北海道の西側を少し触れた程度。
山も海も湖も平野も、本州とはその規模が違う!
次の機会には、
また違う季節に別の地域を訪れてみたいと思いました。

 

 

 

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チェンバロの曲

こんにちは。院長の波木です。

 

前回の記事で、チェンバロの歴史や構造、
クラシック界における楽器の立ち位置の変遷、
現在の音楽界における使われ方を簡単に説明しました。

 

ルネッサンス期からバロック期にかけて、
「鍵盤楽器の王」であったチェンバロ

 

そのチェンバロのために様々な作曲家によって、
たくさんの曲が書かれてきました。

 

今回は、チェンバロが鍵盤楽器の主役を担っていた
「ルネッサンス期〜バロック期」
バッハ以外の作曲家の曲を紹介したいと思います。

 

 

最初は、スウェーリンク
「Pavana Lachrimae(涙のパヴァーヌ)after Dowland 」
by Glen Wilson

 

スウェーリンク(jan pieterszoon sweelinck 1562年アムステルダム生)

 

ルネッサンス後期からバロック前期の作曲家・オルガニスト。

 

 

 

この曲は、当時大流行したイングランドの作曲家ダウランドの歌曲
「Pavana Lachrimae(涙のパヴァーヌ)」の編曲版。

 

儚く切ない、苦悩や悲哀を表した原曲の歌詞を投影したような曲調。

 

 

続いて、オランダのシブランドス・ファン・ノールド
(Sybrant van Noordt 1659-1705)
「Sonata A minor」by Bob van Asperen

 

 

題名がソナタとなっていますが、ソナタ形式ではありません。

 

シャコンヌやパッサカリアと言ったほうがいいかもしれません。

 

主題を次々に変奏していく即興性がこの作品の魅力になっています。

 

 

フランソワ・クープラン「恋の夜鳴きうぐいす(Le rossignol en amour)」
by Denis Bonenfant

 

 

フランス・バロックを代表する作曲家クープランは、
1668年にパリで生まれ、チェンバロのために200数曲を残しました。

 

そのいずれもが、
フランスならではの洒脱さとエスプリに満ちた作品となっています。

 

この曲の構成は、右手のメロディーラインに左手の伴奏という、
割りとオーソドックスな形です。

 

右手の装飾音がうぐいすのさえずりを想起させ、
日本でいう「ホーホケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ」
の部分が後半に出てきます。
ただ、「夜」の感じはあまりありません。

 

 

 

ジャン=フィリップ・ラモー(Jean-Philippe Rameau, 1683年生)は、
バロック時代のフランスの作曲家。
ラモー「ファンファリネット」by Olivier Baumont,

 

 

この曲は、新しいクラヴサン曲集第4組曲の第5曲。

 

ファンファリネットは、小さなファンファーレの意。

 

その名の通り、ちょっとした良いことがあった時の
心の高揚感を表すような可愛らしい曲。

 

 

ジャック・デュフリ
(Jacques Duphly 1715年生 フランスの作曲家
オルガン・チェンバロ奏者)

 

「ドゥ・ブロムブル ニ短調 (快活に)
La de Belombre (Vivement)」by Skip Sempe

 

 

出だしがインパクト大!

 

短調の曲にも関わらず、題名通りの快活さが表現されている。

 

 

続いて、J.S.バッハと同い年1685年生のドメニコ・スカルラティ

 

イタリアの有名な作曲家アレッサンドロ・スカルラティの子として生まれ、
礼拝堂の音楽監督を務めた後、スペインへ移住し、
チェンバロ独奏用のソナタを540曲以上作曲。

 

スカルラティの鍵盤楽器のための作品は
主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、
チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかは
はっきりしていない)
「Sonata K. 1 in D minor」by David Louie

 

 

(作品番号の頭の「K.」は
カークパトリック(によって付けられた)番号で、
K. 1から30のみが、生前に出版された。)

 

この曲は、右手の下降音型、3度の分散和音とトリル、
左手の伴奏音型の練習になっている。

 

短調の曲なので、全体を覆う憂いを感じつつ、
チェンバロ特有の乾いた音色が、暗さを消し去っている。

 

 

「Sonata K. 141 in D minor」by Jean Rondeau

 

 

右手の同音連打が印象的な曲。

 

スカルラティは、チェンバロという楽器の限界を超えたイメージを持って
この曲を作ったのかもしれない。

 

それ故か、この曲はピアノで演奏されることが多く、
マルタ・アルゲリッチやアレクサンドル・タローの
アンコールピースとしても有名。

 

シャン・ロンドーは、曲想や間の取り方が革新的で、
チェンバロの新たな可能性を示す演奏。

 

 

 

デュフリの「La Forqueray」by Falerno Ducande

 

 

 

ジャック・デュフリ(jacques duphly 1715年生)はフランスの作曲家、
オルガン・チェンバロ奏者。

 

この曲は、不思議な曲。

 

揺れ動く哀しげな単音旋律に伴奏部が絡みそうで絡まない。

 

弾き方によって微妙に明るさ暗さが変わってくる感じ。

 

 

最後は、ロワイエ(joseph-nicolas-pancrace royer 1705年頃生
フランスバロック音楽の作曲家、チェンバロ奏者)

 

「スキタイ人の行進(La Marche des Scythes)」

 

この曲は、バロック期のチェンバロ用楽曲の中にあって、
超絶技巧を要する難曲。

 

全編がアグレッシブで、鬼気迫るという例えがピタりとハマる曲。

 

実演は、植山けいさんの演奏で聴いています。

 

初めてその曲を聴いた時、何なんだこの荒々しい曲は!!
と感嘆した記憶があります。

 

 

巨匠スキップ・センぺの演奏で。

 

録音環境があまり良くないため、残響が被ってしまっているが、
それでもセンぺの技巧を目の当たりにできる演奏。

 

 

 

Jean Rondeauの演奏で。

 

センぺよりもさらに速い演奏。

 

ただ速いだけではなく、緩急を使い分けているところも素晴らしい。

 

チェンバロの魅力を余すことなく表現しきっている。

 

 

Yago Mahúgoによる演奏。

 

 

右手と左手のバランスが絶妙!

 

上段と下段の使い分けで、全体の流れをコントロールしている。

 

こういった違いは録音だけでは計り知れない。動画ならではの発見!!

 

 

Marco Mencoboniによる演奏。

 

スピードは無いが、リズミカルで、かつ味のある演奏。

 

 

前者に比べて遅いが、
しっかりとした技術に裏打ちされた演奏で、好感が持てる。

 

✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎

 

 

チェンバロ用(あるいはその時代の鍵盤楽器用)に書かれた楽曲を、
チェンバロで演奏した音源、いかがでしたか?

 

バロック期の、あるいはそれ以前のルネッサンス期の作曲家や
作品が再発掘され、演奏者がそれを取り上げ、
またその演奏を現代の人たちが聞く。

 

バロック期の作品を、
作曲時には無かったピアノで演奏する音源や録音も沢山あります。

 

ピアノ演奏で古い時代の良い曲を取り上げてくれたからこそ、今の、
チェンバロをはじめとする古楽器の存在意義が増しているのでしょう。

 

そんな背景も思い浮かべつつ、チェンバロの曲を聴くと、
また違う楽しみ方が出来るかもしれません。

 

<著名なチェンバリスト>

 

スコット・ロス、トレヴァー・ピノック、トン・コープマン、
ボブ・ファン・アスペレン、ピーター=ヤン・ベルダー、
グスタフ・レオンハルト、
クリストファー・ホグウッド、ケネス・ギルバート、
クリステアーヌ・ジャコッテ、
ヘルムート・ヴァルヒャ、アンドレアス・シュタイアー、
エディット・ピヒト=アクセンフェルト、
カール・リヒター、ピエール・アンタイ、
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ、オリヴィエ・ボーモン、
ワンダ・ランドフスカ、クリストフ・ルセ、
小林道夫、鈴木雅明、曽根麻矢子、中野振一郎、渡邊順生

 

<有望株>

 

ジャン・ロンドー、マハン・エスファハニ、
バンジャマン・アラール、ジュスタン・テイラー
大塚直哉、水永牧子、植山けい、鈴木優人、松岡友子

 

 

 

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チェンバロについて

こんにちは。院長の波木です。

 

最近、患者さんから「ブログ見てます」、
「特に音楽の話題を楽しみにしてます」と言われることが多くなりました。
読んで頂いている方が多いと思うと、記事を書くのも張り合いがあります。

 

読後の感想などを診療後などにお話し頂けると、嬉しいです。

 

さて、今回は
クラヴィコード、リュート、ピアノに続いての楽器紹介です。
チェンバロを実際に見る機会は、なかなか無いと思います。
しかし、日常なんとなく聞いているテレビのBGMや洋楽、
邦楽、ドラマや映画の劇伴などで耳にすることは非常に多い楽器なのです。

 

 

チェンバロ(イタリア語)は、
①弦を④プレクトラム(爪)で弾いて発音する鍵盤楽器の中の撥弦楽器。
英語ではハープシコード 、フランス語ではクラヴサンという。
現存する最古のチェンバロは、1480年頃に製作された
作者不明のクラヴィツィテリウム

 

 

チェンバロは合奏の中で通奏低音を受け持つ
伴奏楽器として使われていたが、
17世紀から18世紀にかけて数多くのチェンバロのための
楽曲が作曲され黄金時代を迎えた。
18世紀の終わりから19世紀の初めにかけてフォルテピアノが一気に台頭し、
鍵盤楽器の王者の地位を追われるが、
20世紀に入ってからランドフスカによって見なおされ、
古楽の歴史考証的な演奏のために復興され、
現代音楽やポピュラー音楽でも用いられている。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/チェンバロ#構造

 

チェンバロの音量は、打鍵(鍵盤を弾くこと)の
強弱によって変えることがほとんど出来ない。
しかし、チェンバロはレジスターと呼ばれる音色の選択機構によって、
音量、音色を段階的に切り替える事が可能である。

 

 

チェンバロの製作様式は大別するとイタリア式フランス式に分けられる。
イタリアン・チェンバロの響きは明るく軽い
イタリアン・チェンバロのほとんどは1段鍵盤で、
通常は2組のユニゾンの弦が張られている。

 

フレンチ・チェンバロは、ほとんどが2段鍵盤で、
下段は8フィートと4フィートの2組、
上段は8フィート弦1組が張られている。
フレンチ・チェンバロの音は、豊かで力強い

 

 

チェンバロの鍵盤は、現代のピアノと同じくナチュラル・キーが白で
シャープ・キーが黒いが、フランスでは逆にナチュラル・キーが黒く
シャープ・キーが白い鍵盤が好まれた。
現代のピアノの「ラ(A)」を442~443Hzで調律されるのに対し、
チェンバロの音高はバロック時代のピッチ415Hzに調律されている。
(数字が大きいほど音が高くなる) 』

 

 

私が最初にチェンバロを生で聴いたのは、
1995年9月23日サントリーホールのコンサート。
リコーダーの巨匠ミカラ・ペトリの演奏会でした。

 

当時私は、チェンバロのために書かれた作品を
ピアノで演奏したCDをたくさん聴いていました。

 

例えば、グレン・グールド演奏のスカルラティのソナタ。

 

 

グールドのノンレガート奏法と曲調がすごく合っています。
この演奏と、巨匠ホロヴィッツのCDで、
スカルラティの魅力に気がつきました。
ドメニコ・スカルラティは、イタリアの作曲家で、
チェンバロ独奏用のソナタを540曲以上(総数は不明)書きました。
イタリアらしい明るい曲が多く、
特にトリルなどの装飾音に特徴があリます。
しかし、ピアノでの演奏をたくさん聴いた後に
チェンバロでの演奏に触れると
次第に疑問を抱くようになってきました。
どちらがスカルラティの楽曲を、作曲者の製作意図に沿って、
より魅力的に表現できているのか・・・

 

チェンバリストDavid Louieによるスカルラティ「Sonata in D minor K.9」

 

 

短調の曲ですから、
全体に物憂げな暗さがつきまとうのですが、
チェンバロの演奏だとその中に軽妙さが良い塩梅に混じる

 

バッハ
「イタリア協奏曲(Italien Concerto) BWV971」第一楽章

 

Rafał Blechaczによるピアノ演奏

 

 

原題は「イタリア趣味によるコンチェルト」で、
バッハがヴィヴァルディをはじめとする
イタリアの作曲家や作風を意識して協奏曲用に作ったチェンバロ独奏曲

 

ピアノで自分もやった曲なので、
ピアノ演奏で聴くことに違和感はないのですが、
これをチェンバロ演奏で聴くと、歯切れ良く、
軽やかで実にチャーミングに聞こえます。

 

 

植山けいさんの演奏は「チェンバロの日」というイベントで
聴いた事があります。

 

 

 

イタリアンチェンバロ

 

 

チェンバロは、楽器そのものの美しさも魅力です。
このチェンバロも、外枠、響板、屋根と華麗な装飾が施されています。
一台一台違う絵柄で、唯一無二の楽器となっています。

 

 

 

フレンチチェンバロ

 

 

フランスの作曲家ジャン=フィリップ・ラモーの「鳥のさえずり」

 

 

チェンバロの音をチチチという鳥のさえずりに見立てた曲。
チェンバロ作品には、ラモーのこの曲に限らず、鳥を題材にした曲が多い。
しかし、それらをピアノ演奏で聴くと、
鳥らしさはあまり感じられなくなります。

 

✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎

 

チェンバロは、前述したように
昔も今もさまざまなジャンルで使われています。

 

 

「薔薇色のメヌエット」ポール・モーリア

 

 

「I’ll Be Back」Wes Montgomery

 

 

・ポール・モーリア「天使のセレナーデ」
・ポール・モーリア「恋はみずいろ」
・ポール・モーリア「オリーブの首飾り」
・アニメ「キャンディキャンディ」〜オープニングテーマ〜
・半沢直樹 ~Main Title~
・光る君へ
・木村カエラ「Butterfly」
・DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」
・The Beatles「Piggies」
・The Rolling Stones「In Another Land」

 

 

最後にバッハの
「4台のチェンバロのための協奏曲 BWV 1065」を。

 

 

4台のチェンバロ協奏曲を書いたのは、
音楽史上でバッハしかいません。

 

この曲の元曲は、
ヴィヴァルディの協奏曲集『調和の霊感 作品3』
「4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲ロ短調」で、
それをバッハがチェンバロ用に編曲したもの。

 

昔も今もチェンバロを4台揃える事さえ難しいのに、
それを調律し、かつ演奏者を集めることなど、
単独のコンサートではあり得ない事です。

 

この動画も、次の動画もいわゆるフェスでのもの。

 

チェンバロ演奏では、観客が舞台上で聴いているのが特徴的。
チェンバロの音量では、広いホール、
大規模のオケという編成ではバランスが悪くなります。

 

ピアノ演奏は、アルゲリッチ、キーシン、プレトニョフと巨匠が勢揃い。

 

 

この演奏は、今でも奇跡的イベントだと評されています。

 

 

最初にお話ししたように、現代の様々な音楽や効果音にも、
チェンバロは思いのほか使用されています。

 

そんな音を探しながら音楽を聴いたり、
テレビを見るのも面白いと思います。

 

 

過去に行ったチェンバロコンサート。

 

2014年5月5日 チェンバロの日 中村恵美 植山けい
2014年12月23日 津田ホール 小林道夫
2015年5月4日 ラフォルジュルネ 鈴木雅明 鈴木優人
2016年7月3日 チェンバロフェスティバル 曽根麻矢子 大塚直哉
渡邊順生 鈴木優人
2016年8月11日 かまがや木楽の家 松岡友子
2016年12月29日 近江楽堂 渡邊順生
2018年2月22日 東京文化会館小ホール ケネス・ワイス

 

 

 

【医院からのお知らせ】
夏季休診のお知らせ
8月8日〜13日まで休診とさせて頂きます

 

 

 

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「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2024」

こんにちは。院長の波木です。

 

今年のGWは5連休でした。

コロナ禍前のGWのメインイベントは

ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)・オ・ジャポン」でした。

 

以下ウィキペディアより

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83

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2005年に始まったこの催しは、

東京国際フォーラムを中心とした周辺施設で、

有料無料のコンサートやライブ、ワークショップ、

展示会、講演会を開催する一大イベントとなっています。

 

私が最初に参加したのは2014年。

その時に観た最初の公演は、

アンヌ・ケフェレックがピアノを弾く

ハイドンとモーツァルトの室内楽でした。

 

その後は、2015年、2016年、2018年、2019年の

会期中の1日は参加していて、今回は5年ぶりの参戦

 

 

☆最初の公演は、ピアニスト:アンヌ・ケフェレックのソロ。

 

・J.S.バッハ/ブゾーニ:コラール前奏曲「来たれ異教徒の救い主よ」 BWV659a

・マルチェッロ/J.S.バッハ:オーボエ協奏曲 ニ長調 BWV596より アダージョ

・ヴィヴァルディ/J.S.バッハ:オルガン協奏曲 ニ短調 BWV596より ラルゴ

・スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32 「アリア」

・ヘンデル/ケンプ:メヌエット ト短調 HWV434

・J.S.バッハ/ヘス:コラール「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147

・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調op.110

 

最初に彼女の演奏を聴いたのは、2010年11月の佐倉市民ホール。

その時のプログラムも、前半はこの日とほぼ同じ。

 

14年経っても彼女の繊細で凛とした演奏スタイルは変わらない。

ベートーヴェンは、バッハを敬愛し、その作風を曲に取り入れた。

その集大成がピアノ・ソナタ第31番。

珍しく演奏前に通訳を連れて解説をするケフェレック。

この曲に対する彼女の想いを、聴衆に語らずにはいられなかったのだろう。

 

そして荘厳な31番が、彼女の中で昇華され、

美しく、そして儚く、時に力強く聴衆の心を打つ。

 

 

 

 

☆2つ目の公演は

・モーツァルト:オペラ《ドン・ジョヴァンニ》序曲 

・ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21

 

小林愛実 (ピアノ)

群馬交響楽団 (オーケストラ)

横山奏 (指揮者)

 

余韻に浸る間も無く移動、なんとかショパンの前に着席できました。

ショパンのピアノ協奏曲といえば第1番。

(実際には、第1番とあるが、2番目に作られている)

 

3年前のショパンコンクールの最終審査(オーケストラとの競演)でも、

2位になった反田恭平をはじめ、

ほとんどの演奏者が第1番を選択しています。

 

2番を聴くのは2回目で、いずれもこのイベント。

コンサートプログラムとしての構成、それによる集客を考えると、

演目の選択はかなり重要なファクターを占めます。

 

このイベントのように、

テーマを設定して構成されるコンサートの場合、

演奏される曲の認識度や人気より、

珍しさや特異性に、お客さんも惹かれる傾向にあると思います。

 

アンコールは、ショパンのノクターン嬰ハ短調。

 

小一時間空いたので、ドイツビールのお店で、

ポーチドエッグがのったシュパーゲル(ホワイトアスパラ)を食す。

 

 

☆3つ目の公演は

・モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271「ジュナミ」 

・モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364

 

アンヌ・ケフェレック (ピアノ)

オリヴィエ・シャルリエ (ヴァイオリン)

川本嘉子 (ヴィオラ) 

東京21世紀管弦楽団 (オーケストラ)

中田延亮 (指揮者)

 

チャーミングな出だしのフレーズ。

ピアノとオケの掛け合いが当時としては斬新だったらしい。

 

2019年 ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503 に次ぐ、

ケフェレックのモーツァルトのピアノコンチェルト。

一本筋の通った可憐なピアノとオーケストラが、

お互いを引き立て合う心温まる演奏。

 

 

 

☆4つ目の公演は、これぞフェス!!というプログラム。

・ボロディン:オペラ《イーゴリ公》から 「だったん人の踊り」(2台ピアノ版)

・ストラヴィンスキー:バレエ「春の祭典」(2台ピアノ版)

 

ナタナエル・グーアン (ピアノ)

広瀬悦子 (ピアノ)

 

ピアノのソロ公演は、

コンサートの中でおそらく一番演奏されるスタイル。

次がピアノが伴奏をする独奏楽器とのデュオ

(バイオリンとピアノ、チェロとピアノ、フルートとピアノなど)。

意外にハードルが高いのが、ピアノ連弾と、2台ピアノの演奏で、

作曲されている曲目が少ない上、

演奏者や会場の事情により、コンサートとして企画される事は稀れ。

 

ストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」(2台ピアノ版)は、

CDとして持ってはいても、実演で聴くことが出来るなんて!

まさしくこのフェスならでは。

 

その上、もう一曲が大好きな ボロディンの「だったん人の踊り」。

 

下の演奏は、今回のピアニスト広瀬悦子と

シプリアン・カツァリスのデュオ版。

 

 

アンコールは、チャイコフスキーのくるみ割り人形から「金平糖の踊り」

 

 

 

☆最終公演は

ジャズピアニスト 山下洋輔 ソロ

「ラヴェルのボレロなど、テーマ「ORIGINES」にちなんだ楽曲をモチーフに贈る、唯一無二のスペシャル公演! 」

 

という事でしたが、三階席で聴くのはちょっと無理がありました。

ジャズは目の前で聴いた方が良いです。。。

 

 

以上、ラ・フォル・ジュルネ2024のコンサート評でした。

 

クラシックの入り口、きっかけとしては、非常に良い企画だと思います。

ちょっと聴いてみようかな?なんか面白そうだね?という感じで

参加していただけるとお値段以上の価値を見出してもらえると思います。

 

 

 

 

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銚子〜九十九里〜勝浦

こんにちは。院長の波木です。

 

3月20日21日の一泊二日で一人旅をして来ました。

 

銚子へ行くのは25年ぶり。最初の目的地は銚子電鉄の「観音駅」。
駅舎が可愛らしく、ローマ字表記された駅名の「KANNON」が、
当院の「CANON」
と綴りもロゴも似ていて、
一度訪れてみたいと思っていました。

 

 

洋風のレトロな造りの駅。たまたま電車も通って、ラッキーでした。

 

海岸線に抜けて、「君ヶ浜しおさい公園」へ。
駐車場から道を渡るとすぐに広い砂浜に出られます。

 

「犬吠埼灯台」が綺麗に見える公園です。

 

 

ほど近い灯台にのぼってみました。
この日は午前中晴れていたのですが、
飛ばされそうなほどの強風でした。

 

内陸へ入って「地球の丸く見える丘展望館」へ。
銚子半島で一番高い愛宕山の頂上にある展望台。
半島の特殊な地形と周囲に何もない立地から、
360度のパノラマが見られ、
地平線と水平線のつながりで“地球が丸い”ことを
実感できる場所です。

 

 

着いたときには空はすっかり雲に覆われてしまい、
あいにく”東洋のドーバー”と呼ばれる
「屏風浦」は綺麗に見えませんでした。

 

港の近くの旅館で昼食を食べ、
ひたすら九十九里海岸沿いを南下して、白子町の宿舎へ。
温泉と岩盤浴で身体を癒して就寝。

 

二日目。
すっかり天気も回復して、絶好のドライブ日和。
最初の目的地は「岩船地蔵尊」
海に突き出たほこらから太平洋が見渡せます。

 

さらに下って、勝浦湾の突端「八幡岬公園」
駐車場から5分ほど歩いて、かつて勝浦城があった公園へ。
展望デッキからの眺望が素晴らしく、しばし休憩。

 

続いて「鵜原理想郷(南房総国定公園)」
〜起伏に富んだ岬が続くリアス式海岸と
日本の渚百選にも選ばれた鵜原海岸の砂浜が広がる景勝地であり、
南房総国定公園の一角に位置する。
大正時代、この地域を別荘地とする計画があり
「鵜原(うばら)理想郷」と呼ばれてきた。〜

 

駐車場から約2キロのハイキングコース。
「明神岬」「白鳳岬」「毛戸岬(けどみさき)」「黄昏の丘」
山道を巡るコースは、普段運動をしない身には
かなり堪えるアップダウン。

 

でも、そこからの景色は絶景!
浸食されて鋸の歯のように複雑に入り組んだ入り江、
露出した地層。
リアス式海岸を目の当たりにできるオススメの場所です。

 

 

コースの終点は鵜原海岸。
ドラマのロケ地にもなっていて、
鵜原・八坂神社の白い一ノ鳥居で有名。

 

 

勝浦港に戻って、お寿司を頂き、帰路へ。

 

温泉に入って、美味しい海鮮を食べ、海岸線をドライブして、
リフレッシュできました。

 

 

 

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